農業利益創造研究所

コラム

アンケート結果「将来への不安は何ですか?」

農業利益創造研究所では、農業に携わる方からご意見をお聞きするアンケートを定期的に実施しています。2021年8月(2021/8/1~2021/8/31)の質問は、「将来への不安は何ですか?」でした。ご回答いただいた方々には、改めてお礼を申し上げます。

経営者は自分のやりたいことを行えるのでワクワク感がいつもあると思いますが、新しいことに挑戦する時は、失敗したくないという気持ちからドキドキ感が増してきます。さらに何年も先のことに対しては、未来に対するモヤモヤ感も伴うのではないでしょうか。

そんな農業経営者が抱えている不安をお聞きした今回のアンケートでは、最終的な集計結果はこのようになりました。みなさんあまり不安が無い方が多いのか、回答数が非常に少なくなっています。まとめると、後継者問題とコロナ禍の問題、そして販売価格の問題が悩みの種のようです。

将来への不安は何ですか?
後継者がいない 33.3
労働力を確保できない 0
販売価格が上がらない 22.2
生産技術が未熟 0
機械や施設の老朽化 0
農地が集積しない、拡大できない 0
販路が見つけられない 0
コロナの終息 44.4

後継者がいない

日本農業が継続的に発展するために、後継者問題は避けて通れない重要課題です。

2021年5月に「日本農業に未来はあるか? 儲かってる稲作農家に後継者はいるのか」というコラムを掲載しました。ソリマチの農業簿記ユーザーの優良経営を行っている稲作専業農家44人に後継者がいるかどうか調査した結果、後継者がいる農家は半分でした。優良農家ですら、半分が将来的に廃業するかもしれないという大変な状況に置かれているわけです。

非常に難しい問題ですが、儲かる農業を後継者に見せることが、一つの解決方法になっていくかもしれません。

販売価格が上がらない

2021年7月の日本農業新聞によると、鹿児島県や高知県では2021年産米の60キロ当たりの概算金が前年から約1,000円下がる見込みとのこと。全国的に20年産の持ち越し在庫が多く発生し、需給が緩和する見通しだそうです。

また、2021年8月にはお店に並ぶきゅうりの価格が3倍になり、夏野菜が軒並み価格高騰になりました。これは日本列島の広域に長雨と豪雨が発生して、生産量に影響を与えたことが価格高騰の原因です。このように農業は、外部要因によって販売単価が上下する不安と、常に戦わなければなりません。

コロナ禍の終息

2020年春頃から始まったコロナ禍、いつ終わるのか? 全世界の人々が思っているに違いないです。

2021年8月に「2020年、コロナ禍の中で農業経営はどうなった?」というコラムを掲載しました。この分析によると、意外にもコロナ禍による農業経営の利益低下の影響はほぼなかったという結果です。外食ビジネスは大変な状況でしたが、日本全体の食料自体は減っているわけではないし、コロナ禍に関する補助金も支給されたため、全体として影響は少なかったのです。

しかし、農業経営者としては、先の見えないコロナ禍に対して不安を感じていてもおかしくありません。また、逼迫する医療体制への不安なども、当然のようにあるでしょう。

自分でコントロールできるもの、できないもの

総括してみると、自分でコントロールできるものに対する不安は少なく、逆に自分ではどうにもコントロールできないものが不安なのではないでしょうか。

【コントロールできるもの】
・労働力が足りないなら、採用活動に注力する
・生産技術は、自ら勉強して習得する
・機械や施設は古くなれば、自分で購入更新する
・農地や販路も、自分で探す

【コントロールできないもの】
・後継者は、子供の考え次第
・販売単価は、市場原理次第
・コロナ禍は、ワクチンや治療薬次第

自分でコントロールできない不安はどうしようもありませんので、もし最悪の事態になったらこうしよう、という対応策を事前に準備しておくことしかないですね。

なお、9月のアンケートは「ふるさと納税で農産物を販売していますか?」です。ふるさと納税での販売は利益が出る、と耳にします。現在みなさんが取り組んでいるかどうかを知りたいので、たくさんの投票をお待ちしています。

 この記事を作ったのは 農業利益創造研究所 編集部

農業者の簿記データとリサーチデータをデータサイエンスで統計分析・研究した結果を、当サイトを中心に様々なメディアを通じて情報発信することで、農業経営利益の向上に寄与することを目標としています。