農業利益創造研究所

インタビュー

施設は共同利用、自分で持たない経営が実は儲かる!「上野農園」

レジェンド農家 インタビュー 「上野農園(上野 久志さん)」

「農業は儲からない」なんて考えはもう古い!
農業だって、やり方次第で儲かるということを実践している農家が北海道にいました。

北海道岩見沢市で稲作+野菜の複合経営をしている「上野久志」(うえのひさし)さんの経営をご紹介します。

儲かる秘密1:複合経営でリスク回避

広大な大地を持つ北海道は、なんと日本全体の農地面積の約4分の1を占めているそうで、冬は寒いですが夏は冷涼で湿度が低く、梅雨や台風の影響をほとんど受けず、そのため病害虫の発生が少ないのが特徴です。岩見沢市も見渡す限り田んぼと畑が無限に広がる農業地帯であり、そんな中で上野さんは、水稲18ha、玉ねぎ4.3ha、花(トルコ桔梗)30a、スイートコーン、秋まき小麦などを作付けし、妻と両親で経営しています。

父の農業を継ごうと農業大学校を出て就農したという上野さんは、周りでは水稲+玉ねぎという組み合わせはあまりやっていない中で作付けして利益を上げているということです。玉ねぎは5月から6月ころに移植するため完全に水稲の田植えと重なってしまいますが、苗の育苗や田植え、稲刈り、籾の乾燥調製はすべて農家仲間との共同利用・共同作業で行っているため労働時間に余裕があり玉ねぎの収穫が行えるとのことです。

また、自分が就農してからビニールハウス内で花(トルコ桔梗)を栽培するようになり、花が終わったら同じハウス内でほうれん草を作付けしてハウス施設を有効利用しながら売上増・コスト削減・高効率化を実践していることも利益増加につながっているのではないかと思います。

儲かる秘密2:機械・施設は共同利用、借地無し

先にも述べましたが、上野さんは田植え機やコンバインは所有していません。共同利用することにより投資を抑えて減価償却費を下げているとのことです。まさにシェアリング経営、「持たない経営」です。逆に農地はすべて自作地であり「農地を持つ経営」ですが、その分支払い地代はゼロです。徹底的に家族経営にこだわり、常勤の雇用も無く家族経営を最大限に効率化して利益を出していることがわかります。

今年新型コロナウイルス感染症の影響をカバーするための「経営継続補助金」によりドローンを購入したそうです。北海道では農地が広いのでドローンによる農薬散布は非常に有効で、今年はまだ使っていないが免許を取得して来年から活用する、とおっしゃっていました。今後さらに低コスト農業になっていくと想像できます。

大きな視野と謙虚な人柄の経営者

実は、ソリマチの農業簿記のユーザー数が一番多いのは北海道でダントツの利用者数です。大規模経営が多いのできちんと経営の見える化を徹底している優秀な経営者が多いのでしょう。また北海道は広大な農地であるため、無人ロボットの農業機械や、ドローンの導入も多く、今後ますます北海道の農業は成長していくのではないかと思われます。

上野さんに今後の農業全体について尋ねたところ、日本の人口は減っていき消費が減るから農産物の輸出拡大を目指すべきだ、そして補助金に頼るような農業経営をしていてはダメだと力説していました。

指導農業士でもある上野さんは今後の地域農業に危機感を持っていて、地域の中で農業者の高齢化と減少化が進んでいるので地域内の農業者を増やしたい・育てたい、と力強い口調で、でも謙虚な姿勢でおっしゃっていたことが印象的でした。

この度は、お忙しいところインタビューありがとうございました。

 この記事を作ったのは 農業利益創造研究所 編集部

農業者の簿記データとリサーチデータをデータサイエンスで統計分析・研究した結果を、当サイトを中心に様々なメディアを通じて情報発信することで、農業経営利益の向上に寄与することを目標としています。