農業利益創造研究所

インタビュー

「斉木農園」レタス&ねぎの露地野菜、地域で儲かる農業を実践!

レジェンド農家 インタビュー「斉木農園(斉木 勤さん)」

「農業は儲からない」なんて考えはもう古い!
農業だって、やり方次第で儲かるということを実践している農家が茨城県にいました。

茨城県坂東市で露地野菜(レタス・ねぎ)を栽培している「斉木勤」(さいきつとむ)さんの経営をご紹介します。

儲かる秘密1:春レタス~夏ねぎ~秋レタスの黄金律

茨城県坂東市は、穏やかな気候と地下水に恵まれた平坦な地形で、野菜作りに適しています。この地域で広く実践されている露地野菜の栽培スタイルは、春にレタス、夏にねぎ、秋に再びレタスを栽培するというものです。多品目を作付けする場合は一年に二種類の二毛作が一般的ですが、この地域では野菜を三回にわたって栽培することで、効率良く利益を上げています。

このスタイルが坂東市に広まったのはおよそ40年前。この地域を管轄するJA岩井は、昭和63年に野菜予冷センターを設立し、高い鮮度を維持したままで農産物を広範囲へ流通できる仕組みを作り上げました。他にも「惚レタス」ブランドの創設や、輸入ねぎに対抗しての新品種導入などの取り組みを行い、「春レタス~夏ねぎ~秋レタス」栽培での利益創造に大きく貢献しています。

そんな坂東市で優良経営を行う斉木農園は、斉木さん、奥様、お父様、お母様の四人での家族経営です。

収入のメインはレタスとねぎで、米も手掛けています。ここの土は大雨の後に乾燥すると固まってしまうため、それを防ぐために米の籾殻を畑にまいているそうです。また、緑肥植物の一つであるソルゴー(ソルダム)を、肥料分の吸収と秋作の台風後の水はけを良くする為に、ねぎの後に作付けしています。

メイン作物のレタスとねぎは全てJAに出荷。利益を出す方法として直販を選ぶ農家も多い昨今ですが、レタスとねぎを高値で売ってくれるから、という理由でJAを選んでいるそうです。

実は、JA岩井の野菜予冷センターのすぐ隣に、岩井中央青果市場が位置しています。こちらも農家が生産物を持ち込む集荷先ですから、JAにとってはライバル。隣の青果市場の方が高く売れるとなれば、農家がこぞってそちらに出荷してしまう可能性もあります。

しかし、高値での販売に成功し、斉木さんのような優良農家に選ばれるのは、JA岩井の収益力の証拠でもあります。坂東市の露地野菜栽培は、JA主体で利益創造に成功している素晴らしい実例の一つと言えるでしょう。

儲かる秘密2:とにかく費用を徹底的に抑える!

春レタス~夏ねぎ~秋レタスという栽培スタイルの成功はJAと地域全体で作り上げたものですが、それを堅実に実践する斉木さんの努力も忘れてはなりません。

JA岩井は、栽培ノウハウを研究・普及することにも力を入れているので、ここからさらに個人で工夫を凝らして、収量や品質を上げることは難しいそうです。そこで斉木さんは、利益を出すためには、徹底的に費用を抑えることが必要との結論に達したそうです。

たとえば、斉木さんは資材や肥料は必ず一番安いところから仕入れるようにしています。出荷は100%をJAに任せていても、購入先には必ずしもJAを選ばないシビアさも。他にも「無駄な機械化は行わない」「家族経営を徹底し、従業員は雇わない」などを実践。先ほど紹介した出荷先をJAに限定する戦略も、出荷先を増やしたり探したりすると時間やコストがかかるので、効率化という側面も持っているそうです。

不安定さも楽しむ余裕を身に着ける

コロナ禍では都心の飲食店の需要低下に伴い、レタスもねぎも大打撃を受けたそうです。苦しい状況ながら、斉木さんは「仕方がない」とあるがままを受け止めているとか。

「もともと露地野菜は値段が不安定で、一番ひどい時は、良い年の半分くらいに収入が下がったりもします。でも、その不安定な点がかえって面白く感じますね。もちろん値段が上がると嬉しいですし、今年は上がるかな?とつい期待もしてしまいます」と斉木さんは語っていました。値段が不安定というデメリットに見える特徴を前向きに楽しめる斉木さんの心の余裕も、農業で利益を出す秘訣の一つなのかもしれません。

なお取材中に、斉木さんには800万円で購入した自慢のトラクターを見せていただきました。あまりの立派さゆえか、盗まれそうになった(!)ことがあるそうです。「大きな音がするので気づかれませんか?」と尋ねると、音が消える雨の日を狙われるとのこと。幸い、斉木さんは寸前で気づいて未遂で済んだそうですが、立派なトラクターをお持ちの皆様は施錠を心掛けて、くれぐれも気を付けてくださいね。

 この記事を作ったのは 農業利益創造研究所 編集部

農業者の簿記データとリサーチデータをデータサイエンスで統計分析・研究した結果を、当サイトを中心に様々なメディアを通じて情報発信することで、農業経営利益の向上に寄与することを目標としています。