農業利益創造研究所

インタビュー

「梶田果樹園」堅実かつ進化する経営でフルーツの里を支える

レジェンド農家 インタビュー「梶田果樹園(梶田 大祐さん)」

「農業は儲からない」なんて考えはもう古い!
農業だって、やり方次第で儲かるということを実践している農家が、山梨県にいました。

山梨県笛吹市でぶどうを栽培している「梶田 大祐」(かじた だいすけ)さんの経営をご紹介します。

儲かる秘密1:地域の特性を生かした農業で利益を上げる

山梨県笛吹市は、農林水産省「平成15年産果樹生産出荷統計」でぶどう・桃の収穫量日本一となり、「桃・ぶどう 日本一の郷」宣言をしたフルーツの里です。

甲府盆地の東部に位置し、土壌は肥沃で排水がよく、日照時間が長いうえに昼夜の気温差が大きく、果樹栽培に適した地域です。

この笛吹市で農業を営む梶田さんは、親から継いだ果樹園で桃とぶどうを栽培しています。梶田さんと奥様、ご両親の四人での家族経営。ほ場の面積は、ぶどうのハウス栽培が35a(品種:シャインマスカット・デラウェア)、ぶどうの露地栽培が80a(品種:シャインマスカット・藤稔)、桃は20aです。

収穫時期は、ハウスのデラウェアが4月中旬~GW、ハウスのシャインマスカットが7月下旬、桃が7月~8月上旬、露地のぶどうが8~9月で、手が回るように上手く時期をずらして効率よく作業しているそうです。

「笛吹市は甲府盆地の中心で、そのため収穫の時期が早く、高い値段がつくんです。だから、この地域の農家は平均よりも利益が出ているのではないでしょうか」と梶田さん。

梶田さんは、親からの代の農業を続けていて、特別なことをしているわけではありません、と謙遜されていましたが、農業の利益が地域性に大きく左右されるのは事実です。果樹に非常に適した土地で、昔ながらの果樹栽培で利益を上げている例の一つと言えるでしょう。

儲かる秘密2:堅実経営に訪れたシャインマスカットブーム

梶田さんがシャインマスカットの栽培を始めたのは10年前。もちろん現在のブームが訪れるよりも前の出来事です。

実は、地球温暖化の影響で日本全体の気温が上がっているため、黒いぶどうが色づきにくくなっている、という問題が生じています。その対策として、梶田さんはシャインマスカットの栽培を始めたそうです。緑色のぶどうであれば、色がつかないという問題は生じないからです。

「当時は、シャインマスカットがこんなにブームになるなんて思っていませんでした。人から勧められて、試しに栽培してみようと軽い気持ちで始めたんです」と梶田さんは当時を回想します。

一昔前は、ぶどうの値段は黒>赤>緑の順番に高く、緑のぶどうは値が安いのが一般的でした。ですが、シャインマスカットブームでその構図はすっかり変わってしまったそうです。

シャインマスカットは儲かりますか?という突っ込んだ質問をしてみると、「単価が高いし、単純に収量が多いですから」というお答えでした。

黒いぶどうは密度を上げる(房数を多くする)と着色しにくくなるため、適度に間引いて房同士の距離を取る必要があります。一方、緑のシャインマスカットは着色不良の心配がないため、ある程度までは密度を上げても大丈夫だそうです(もちろん密度を上げ過ぎると、栄養が足りなくなりますが)。

「シャインマスカットと一般的な黒いぶどうを比べると、収量は約2倍で、単価も約2倍です。そのため、利益は単純計算だと2×2で4倍です」と梶田さんは語ります。利益が4倍とはすごい数字で、利益創造に大いに貢献しそうです。

スマート農業等の様々なチャレンジ精神

梶田さんは非常に堅実な経営をされていて、無理に手を広げることなく、現在の利益を守り続けている方という印象でした。ですが、今後挑戦してみたいことをお聞きした時に、意外な話題を取り上げていました。

「最近、経営継続補助金(新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止対策のための機械・設備の導入等を支援する補助金)を使って、ハウスの自動制御システムを導入したんです。スマホから温度・湿度などの状態がいつでもチェックできて、「温度管理や換気」などの操作もスマホから行えます」

まさに最先端のスマート農業の一つと言えるでしょう。実際に効率化されましたか?との質問には、「それが、やっぱり心配になって何度も見に行ってしまうんですよ(笑)。まだ導入したばかりですし、慣れれば変わってくるかもしれませんが」とのことでした。

また、他にはブラックキングという山梨県オリジナル新品種の苗を育てていて、その栽培に挑戦するつもりです、とも話していました。ブラックキングは文字通り「黒」いぶどうで、巨峰に比べてアントシアニンが多く、着色性に優れています。そのため、気温が高くても上手く着色するのでは、と期待される品種です。

この土地に息づく果樹栽培の伝統を守りつつ、スマート農業や新品種などを取り入れて、より良い農業を追求する梶田さんは、フルーツの里を支える素晴らしい農業経営者でした。

 この記事を作ったのは 農業利益創造研究所 編集部

農業者の簿記データとリサーチデータをデータサイエンスで統計分析・研究した結果を、当サイトを中心に様々なメディアを通じて情報発信することで、農業経営利益の向上に寄与することを目標としています。