農業利益創造研究所

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新規就農者必見!高所得率の儲かり野菜を探る<2023年版>

個人情報を除いた2023年の簿記データ(ソリマチ農業簿記ユーザー:青色申告個人農家11,655人)を統計分析しました。統計基準や用語の解説は「統計分析に使用している用語の説明」をご参照ください。

当コラムの中でアクセスが多い人気のコラムの中の一つに「隠れた儲かり野菜はなに? 高所得率の野菜を探してみました」があります。

経営が成長し後継者に経営を継いでもらうためには高所得(儲かること)であることが重要ですし、新規就農者が農業を始める際はできるだけリスクが少なく儲かる作物で経営をしたいと思うはずです。

今回は、新規就農時に「何の作物を栽培したらよいか」と悩んでいる方の参考になるように、2023年のデータをもとに、野菜の品目別に農業所得や所得率の高い品目を探ってみたいと思います。

※なお、この調査はあくまでも『農業簿記』ユーザーの分析結果であることをご了承ください。

儲かる野菜とは

農業経営において高所得を得るには、できるだけ経費(資材・労力・機械等)がかからずに、付加価値の高い作物を栽培し高く販売できるか、が大事ということです。

少ない経費で収入が高い(収量が多く単価が高い)品目は何なのか、を知るためには、世帯農業所得率((控除前農業所得+専従者給与)÷収入金額×100)の指標を調べるのが最適です。

例えば収入金額が2,000万円で、世帯農業所得率が20%の品目であれば所得は400万円、40%なら800万円です。(全国の野菜経営の世帯農業所得率の平均は26%です)

農業所得率の高い野菜は

農業簿記ユーザーの野菜経営4,593件のデータを調べ、世帯農業所得率の高い品目10位までは以下のようになりました。

野菜は複合経営で多数品目を栽培していることが多いと思いますが、今回は各農家の経営の中で主幹となる品目の販売金額割合が70%以上である農家のみを集計しました。

儲かり野菜第1位は、ワサビ(所得額1,000万円、所得率44.7%)でした。
ワサビは水が流れる畑を整備するのに当初お金がかかりますが、肥料費や農薬費、機械などの経費があまりかからないので所得率が高いのだと思います。

世帯農業所得率が高い品目(1位~10位)
収入金額世帯農業所得世帯農業
所得率
1位 ワサビ22,42510,02144.7%
2位 スイカ26,1549,45436.1%
3位 パセリ15,1275,40235.7%
4位 イチゴ19,0816,45633.8%
5位 カブ13,2384,45233.6%
6位 ゴーヤ9,6263,22833.5%
7位 メロン23,2777,62432.8%
8位 シソ16,1745,10731.6%
9位 サツマイモ22,2196,96731.4%
10位 レンコン17,1265,33331.1%

※金額の単位は千円。

儲かるからといってワサビを作ってみよう、というわけにはいきませんが、静岡県や長野県のワサビ農家に修行に行き、新規就農を狙うのもありかもしれません。

ワサビを除いた2位から10位の品目を2つのグループに分けてみました。

①収入金額2,000万円規模で高所得額を得られる儲かり野菜
  →スイカ、イチゴ、メロン、サツマイモ、レンコン
②規模や所得額は高くないが所得率が高いので経営規模次第では儲かる野菜
  →パセリ、カブ、ゴーヤ、シソ

パセリ、ゴーヤ、シソが儲かり野菜なのはちょっと意外ですね。

農業所得率の高い野菜(11位から20位)

世帯農業所得率の高い品目11位から20位までは以下のようになりました。所得額が高い儲かり野菜は、ホウレン草、ニラ、コマツナ、キャベツ、セロリであり、これらは葉物野菜です。

世帯農業所得率が高い品目(11位~20位)
収入金額世帯農業所得世帯農業
所得率
ホウレン草28,2298,57830.4%
アスパラガス10,6623,07128.8%
ニラ22,8106,52128.6%
ナス16,2604,62728.5%
コマツナ23,9086,65927.9%
キャベツ24,5546,79827.7%
ショウガ18,6115,12227.5%
セロリ27,0667,35227.2%
トマト18,8074,97926.5%
ズッキーニ9,9112,56625.9%

※金額の単位は千円。

葉物野菜は栽培サイクルが短くすぐお金が入ってきますから新規就農者には最適です。

所得率20位までには入りませんでしたが、農業所得額が一番高かったのはタマネギで2,000万円(所得率は25%)でした。収入金額が8,000万円でしたので、おそらく北海道の大規模タマネギ農家が儲かっているのだと思います。

儲かり野菜の地域性

農業所得率の高い儲かり野菜がわかったとしても、農業の特性上、どこで栽培しても儲かるわけではありません。

農業簿記のデータを分析すると、以下の品目で所得率の高い地域は以下の通りでした。

品目地域
スイカ鳥取県、山形県
イチゴ栃木県、愛知県
メロン山形県
サツマイモ鹿児島県、千葉県
ホウレン草岐阜県

同じ品目でも所得率に地域性があるのは、気象や土壌などの条件が合うかどうか、ということと、その地域でブランドつくりを行って品質を高めて付加価値を上げているかどうか、ということだと思われます。

まとめ

今回の分析で、農業所得率が高い(経営効率が高い)儲かり野菜がわかりましたので、新規就農の参考にしてもらえればと思います。

すでに野菜をつくっている経営でも、昔からこの野菜をやってきたからこのままでいいや、ではなく、時代の変化(気象の変化も)に合わせて新しい品目に挑戦することを検討してみましょう。

関連リンク

農業利益創造研究所「隠れた儲かり野菜はなに? 高所得率の野菜を探してみました」

南石名誉教授のコメント

今回の分析では、「世帯農業所得率」を手掛かりに、「儲かる野菜」を明らかにしました。「もうかる」かどうかの判断基準は、いろいろな考え方がありますが、今回の分析で用いた「世帯農業所得率」は、世帯の農業収入・売上高のうち世帯の手元に残る所得(=経営主の控除前農業所得+専従者給与)の割合として算出します。

経営外へ支払う経費に対する、経営主や専従者の労働への報酬、さらに自作地や自己資本に対する地代や利子相当額の割合が高い経営は、「世帯農業所得率」は高くなる傾向があります。換言すれば、機械や施設等の減価償却、肥料や農薬等の資材費、電気や燃料等の光熱水道料等の割合が高い経営は、「世帯農業所得率」は低くなる傾向があります。

「儲かり野菜第1位」のワサビの「世帯農業所得率」44.7%は、驚異的とも言えます。一般的にワサビの露地生産には、清流にあるワサビ田が必要ですが、特別な機械・施設は必要ではありません。また、日よけのための寒冷紗が必要になることはありますが、ワサビ田条件が良ければその他の資材は最小限に抑えられます。つまり、ワサビの生産量や品質を決める重要な要因は、栽培技術もさることながら、ワサビ田の水資源や立地・環境ということになります。特に、水温はワサビ生産の生命線で、通年を通して常時10~15℃前後が理想で、20℃以下であることが必要とも言われています。

こうした条件を満たす立地はかなり限られ、ワサビは自然の恵みそのものです。ワサビ適地の好立地・環境で生産していることが、ワサビが「儲かり野菜第1位」になった背景にあります。このことは、「儲かり野菜」を生産するには、経営の立地や環境を見極めて、その特性を最大限引き出す作物や生産販売方式を導入することが、とても大切であることを示しています。

 この記事を作ったのは 農業利益創造研究所 編集部

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