農業利益創造研究所

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2025年版!野菜の「高所得率儲かり野菜」と「儲かり都道府県」ランキング

個人情報を除いた2025年の簿記データ(ソリマチ農業簿記ユーザー:青色申告個人農家20,292人)を統計分析しました。統計基準や用語の解説は「統計分析に使用している用語の説明」をご参照ください。

毎年当コラムにて、農業所得の都道府県ランキングや、高所得率の儲かり野菜ランキングを掲載していますが、今回は、2025年の個人事業による野菜経営農家7,465件のデータを分析し、ランキング形式でまとめましたのでご紹介します。
※なお、このランキングはあくまでも『農業簿記』ユーザーの分析結果です。実際の全国の農家全体の実情とは異なっている可能性がありますので、ご了承ください。

世帯農業所得 都道府県TOP5

まず最初に、都道府県別に世帯農業所得(特別控除前の農業所得+専従者給与)を集計し、額が多い順にTOP5を選びました。

2025年の1位は北海道であり、一戸平均1,280万円というダントツの多さです。2位は栃木県、3位は茨城県、4位は山形県、5位は千葉県でした。

2024年と比べても順位に大きな変動はなく、これらの都道府県は野菜経営の収益性が高い地域であることがうかがえます。

北海道の高所得額農家を調べると、タマネギとジャガイモ経営の農家でした。
栃木県は、イチゴ、ホウレン草、トマト経営。
茨城県は、メロン、サツマイモ、ハクサイ経営。
山形県は、メロン、ミニトマト、スイカ経営。
千葉県は、サツマイモ、ニンジン経営。

気候や立地条件に適した品目を地域ブランドとして確立している産地ほど、高所得経営が多い傾向にあるようです。

世帯農業所得
2024年 2025年
全国平均 6,786 全国平均 7,155
1位 北海道 12,801 1位 北海道 12,808
2位 栃木県 8,121 2位 栃木県 9,310
3位 千葉県 7,778 3位 茨城県 8,824
4位 山形県 7,494 4位 山形県 8,753
5位 長崎県 6,996 5位 千葉県 8,228

※金額の単位は千円。

世帯農業所得率 都道府県TOP5

世帯農業所得率(世帯農業所得÷収入金額)が高い都道府県TOP5を調べました。

所得率が高い経営は、高単価で販売できているか、あるいは生産コストを低く抑えられていることを意味します。

1位は山形県、2位は栃木県、3位は岐阜県、4位は宮城県、5位は埼玉県でした。

山形県は、2023年は4位、2024年は2位、そして2025年は1位に躍り出ました。逆に、神奈川県は8位に落ちました。

山形県の高所得率野菜は、メロン、ミニトマト、スイカでした。

以前にもコラムに書いたことがあるのですが、山形県のメロン経営の第2作目がミニトマトである経営は高所得率なのです。この作付体系が高収益・高効率経営を支える要因の一つと考えられます。

また、メロン、ミニトマト、スイカ、というのはいわゆる「甘い野菜」であり、高付加価値販売につながっているものと思われます。

栃木県はイチゴ、岐阜県はトマト、宮城県はキュウリとイチゴ、埼玉県はサトイモとキュウリ、が高所得率経営でした。

世帯農業所得率
2024年 2025年
全国平均 27.3% 全国平均 27.3%
1位 神奈川県 36.5% 1位 山形県 37.4%
2位 山形県 35.1% 2位 栃木県 35.4%
3位 岐阜県 33.7% 3位 岐阜県 34.9%
4位 栃木県 32.5% 4位 宮城県 33.3%
5位 福島県 32.4% 5位 埼玉県 32.7%

品目別の世帯農業所得率ランキング

次に、経営効率が高い品目は何であるかを調べ、上位20品目を表にしました。

複合経営の場合は、その作目の売上割合が50%以上であること、その品目のデータ件数が20件以上であること(但しワサビは特別)を条件に集計しました。

第1位はワサビであり2連覇、2位はスイカ、3位は初登場のニンニク、4位も初登場のショウガ、5位はメロン、でした。

ワサビは栽培する園地が特殊ですが、肥料や農薬や機械など全体のコストが少なく、販売先によっては高く売れるということが理由だと思われます。

2025年は青森県の簿記データが増えたことに起因しているかもしれませんが、青森の特産品であるニンニクが3位に躍り出ました。

ショウガは高知県の特産品です。ニンニクやショウガといった主役になりにくい品目が、実は高収益であることは興味深い結果です。

他に気づくのは、スイカ、メロン、イチゴ、サツマイモが上位にいることでます。甘い野菜は人気があるので、高く売れるのだと思います。

また、農業所得額が800万円以上という儲かり野菜は、サツマイモ、ニンジン、ニラ、タマネギ、コマツナ、ジャガイモ、ハクサイ、でした。

割と定番の露地野菜という感じです。北海道のような大規模畑作地帯では、大型機械の導入による省力化・効率化が収益性向上につながっているものと考えられます。ニラとハクサイという葉物野菜も注目です。

他に目立った特徴としては、キャベツが、2024年より所得額も所得率も落ちました。

キャベツの代表的な主産地は群馬県、愛知県、千葉県ですが、高温や長雨、台風の影響で収穫量が落ちたり、出荷のための段ボール代や運賃などの高騰、さらにキャベツの収穫は人手を要するため賃金上昇の影響もあります。

こうした課題はキャベツだけに限らず、露地野菜全般に共通する気候変動リスクといえます。

2025年 世帯農業所得率 高い順ランキング
順位 品目 収入金額 世帯農業所得 世帯農業所得率 2024年順位
1位 ワサビ 22,450 11,491 51.2% ワサビ
2位 スイカ 26,639 9,432 35.4% レンコン
3位 ニンニク 16,718 5,815 34.8% スイカ
4位 ショウガ 24,939 8,654 34.7% メロン
5位 メロン 30,820 10,350 33.6% イチゴ
6位 イチゴ 20,367 6,677 32.8% サツマイモ
7位 レンコン 20,929 6,727 32.1% キュウリ
8位 サツマイモ 30,482 9,201 30.2% ナス
9位 ニンジン 30,579 9,127 29.8% キャベツ
10位 アスパラガス 12,027 3,448 28.7% ニラ
11位 ナガイモ 24,332 6,973 28.7% ホウレン草
12位 キュウリ 17,743 5,080 28.6% トマト
13位 ナス 15,591 4,435 28.4% アスパラガス
14位 トマト 21,309 5,995 28.1% ピーマン
15位 ニラ 29,487 8,152 27.6% ダイコン
16位 ホウレン草 28,721 7,813 27.2% タマネギ
17位 カボチャ 26,028 6,937 26.7% ニンジン
18位 オクラ 9,765 2,583 26.5% レタス
19位 キャベツ 30,061 7,771 25.8% ミニトマト
20位 タマネギ 71,843 18,489 25.7% ネギ
番外編(高所得額の品目)
順位 品目 収入金額 世帯農業所得 世帯農業所得率
25位 コマツナ 33,469 8,189 24.5%
28位 ジャガイモ 43,831 9,944 22.7%
33位 ハクサイ 54,827 10,788 19.7%

※金額の単位は千円。

まとめ

2025年の高所得率な野菜の都道府県と品目は以上の通りでした。

高所得率を実現している経営には、地域特性に適した品目を選択し、高単価販売を実現するとともに、固定費・変動費を適切に管理しているという共通点がみられます。そういった品目をブランド化している都道府県が所得率も高くなっているのです。

今後は、猛暑や資材高騰、人件費高騰などの外部環境がますます変化していきます。高所得率な経営、高所得率な品目はそのような状況にも対応していけるでしょう。

南石名誉教授のコメント

今回の分析では、農業所得率の高い野菜などが明らかになりました。昨年に引継ぎワサビ、スイカ、メロンは、高所得率ベスト5に入っています。

なかでも、ワサビは、驚異の所得率50%超で、連続してベスト1であることが明らかになりました。良質なワサビ生産には、真夏でも20度未満の豊富な清流が自由に使えるなど、特殊な立地条件が必要になるため、参入障壁が高い傾向があります。

生産面では工業的な資材や施設が不要であり、安定した需要があることが、高い農業所得率を維持できている背景にあります。 先人の知恵と努力の恩恵といえるのでないでしょうか。

 この記事を作ったのは 農業利益創造研究所 編集部

農業者の簿記データとリサーチデータをデータサイエンスで統計分析・研究した結果を、当サイトを中心に様々なメディアを通じて情報発信することで、農業経営利益の向上に寄与することを目標としています。