農業利益創造研究所

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アンケート結果「あなたが一番好きな「きのこ」はなんですか?」

農業利益創造研究所では、農業に携わる方からご意見をお聞きするアンケートを定期的に実施しています。2022年3月の1か月間の質問は、「あなたが一番好きな「きのこ」はなんですか?」でした。ご回答いただいた方々には、改めてお礼を申し上げます。

あなたが一番好きな「きのこ」はなんですか?

皆さん、きのこというと秋の収穫というイメージですが、実はしいたけの旬は、3~5月の春と、9~11月の秋と2回あるそうです。

実際はスーパーで一年中売られているきのこですが、人気のきのこは何なのでしょうか?

今回のアンケートの結果は以下のようになりました。

あなたが一番好きな「きのこ」は何ですか?
シイタケ 41.2
シメジ 11.8
マイタケ 11.8
エノキ 11.8
マツタケ 17.7
エリンギ 5.9

きのこといえばやはりシイタケなのでしょうか。農林水産省の「令和2年 特用林産基礎資料」によると生産量が多いのはエノキとシメジですが、シイタケも多くなっています。

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きのこ農家は儲かるか?

2020年の農業簿記ユーザーの中の個人事業きのこ農家のデータを集計してみたところ、経営体数は少ないのですが、収入金額の平均は野菜農家全体とほぼ同額でした。しかし、世帯農業所得(控除前所得+専従者給与)は少なく、世帯農業所得率も低いことがわかりました。

 
(経営体数)
きのこ農家平均
(115件)
野菜農家平均
(4,167件)
収入金額21,55722,267
世帯農業所得4,1926,010
世帯農業所得率19.4%27.0%

※金額の単位は千円。

次に、4つのきのこを栽培している農家の平均を集計してみました。

シイタケ生産の農家数が一番多く、シメジ農家の収入が高く、エノキ農家の所得が高く、シイタケ農家の所得率が高い結果となりました。このデータだけで判断すれば、エノキ栽培農家が儲かっている、ということになります。

 
(経営体数)
シイタケ
(82件)
シメジ
(6件)
マイタケ
(3件)
エノキ
(9件)
収入金額19,11042,31316,56338,056
世帯農業所得額3,9054,9481,6377,354
世帯農業所得率20.4%11.7%9.9%19.3%

※金額の単位は千円。

きのこの栽培は、原木栽培と菌床栽培の2通りがあります。原木栽培は原木に種菌を打ち込んで、林の中など自然環境においてきのこを発生させる方法。そして菌床栽培は、オガクズに栄養源を混ぜた容器に種菌を接種して、空調設備などを備えた施設内で栽培する方法です。

エノキやシメジ農家は専業農家と言えますが、シイタケやマイタケ農家は原木栽培(ほだ木)を行っていて農業以外の兼業収入があるのかもしれません。

先の農林水産省の資料に見るように、エノキとシメジの生産量が多いのはおそらく大量に菌床栽培しているのだと思われます。

シイタケ増収の秘訣とは

みなさんすでにご存じの方もいるかと思いますが、シイタケのほだ木に“ある事”をすると収量が2倍になるそうです。そのやり方がなんと、「発生約2週間前に、ほだ木に散水してハンマーで10回たたく」、だそうです。

また、「雷が落ちるとキノコが育つ」という言い伝えもあるそうで、電気やハンマーの衝撃がシイタケの菌糸に刺激をあたえて生えてくるのではないか、とのことです。不思議ですね。

まとめ

きのこ栽培は、工場生産による企業との競争になる可能性もありますが、以下の理由で比較的簡易に始めることができます。

(1)初期投資を抑えて手軽にスタートできる

現在持っているビニールハウスや倉庫などを活用して栽培が可能ですし、大型の農業機械も不要で、小規模からスタートできるので、起業や複合経営としておすすめです。

(2)収益が安定しやすい

栽培技術が確立されているため、短期間の研修でもすぐに黒字化できますし、通年栽培で定期的に収入が確保しやすい。

(3)働きやすい作業内容

きのこは重量が軽いので、収穫や出荷などが軽作業で、しかも一定温度管理された室内での作業であり、女性や高齢者でも無理なく仕事ができます。

このように、低コスト、低リスクで効率よく収益をあげられるきのこ栽培に目を向けてみるのも良いのではないでしょうか。

4月のアンケートは、「あなたが一番大好きな花は何ですか?」です。新型コロナウイルスの影響でイベントや冠婚葬祭などの花の需要が減少していますが、近年「お家」需要が増えているようです。たくさんの投票をお待ちしています。

関連リンク

農林水産省「令和2年 特用林産基礎資料

 この記事を作ったのは 農業利益創造研究所 編集部

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