農業利益創造研究所

作目

アンケート結果「あなたが一番好きな「花」はなんですか?」

農業利益創造研究所では、農業に携わる方からご意見をお聞きするアンケートを定期的に実施しています。2022年4月の1か月間の質問は、「あなたが一番好きな「花」はなんですか?」でした。ご回答いただいた方々には、改めてお礼を申し上げます。

あなたが一番好きな「花」はなんですか?

春になるとたくさんの花が咲き始めますが、何と言っても皆さんが好きな花は「桜」と答える方が多いのではないでしょうか。今回はあえて農業生産されていない花ははずして、花き農家さんが栽培して出荷する花を選んでみました。

皆さんが好きな花のアンケート結果は以下のようになりました。

あなたが一番好きな「花」は何ですか?
ガーベラ 10.0
チューリップ 0.0
バラ 30.0
ヒマワリ 30.0
アジサイ 30.0
コスモス 0.0
カーネーション 0.0

バラ、ヒマワリ、アジサイが人気ですね。
花きは冠婚葬祭、贈答用、装飾等、様々な使われ方をしていますし、品種・形・色等が細かく異なりますので、人によって好みは変わってくるのかもしれません。

農林水産省の「令和2年産花きの作付(収穫)面積及び出荷量」を見ると、以下のようなグラフになります。また、農林水産省「花きの現状について(令和4年2月)」の資料を見ると、令和元年の花の個人消費は8,407億円、葬儀用1,762億円、婚礼用441億円ということです。なんといっても葬儀用に使われる「きく」が一番多く生産されていることがうなずけます。

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花き農家は儲かるか?

2020年の農業簿記ユーザーの中の個人事業花き農家のデータを集計してみたところ、以下の表のように野菜農家と比べて収入金額、世帯農業所得(控除前所得+専従者給与)、所得率、すべてにおいて低いことがわかり、少し意外でした。

 
(経営体数)
花き農家平均
(531件)
野菜農家平均
(4,089件)
収入金額18,44422,328
世帯農業所得4,7876,027
世帯農業所得率26.0%27.0%

※金額の単位は千円。

農林水産省 令和2年産花きの作付(収穫)面積及び出荷量の資料を見ると、「切り花類の都道府県別出荷量」の第1位は「愛知県」、第2位は「沖縄県」、第3位は「静岡県」でした。
愛知県は主に「きく」、「カーネーション」、「バラ」が有名で、沖縄県は「きく」、静岡県は「バラ」です。

その3つの県の簿記データを集計すると以下のようになりました。

 
(経営体数)
愛知県
(30件)
沖縄県
(5件)
静岡県
(21件)
収入金額23,71627,49217,375
農薬衛生費9952,836607
雇人費1,3924,0571,755
荷造運賃手数料1,4178,4592,105
世帯農業所得6,7861,1054,134
世帯農業所得率28.6%4.0%23.8%

※金額の単位は千円。

数字をよくみると面白い結果が見えてきました。愛知県は所得額や所得率がとても高く、優良経営農家が多いことがわかります。それに対して、沖縄県は経営体数が少ないので一概に決めつけることはできませんが、農薬費、雇人費、荷造運賃費が非常に高く、所得が低くなっています。

沖縄県は、おそらく温暖な気候を利用して花の時期をずらしながら栽培しているのだと思われますが、資材や人手をかけて、さらに首都圏へ飛行機や船を使って輸送している関係でコストが高くなっているのではないでしょうか。

まとめ

花業界は、コロナ禍の影響で結婚式用の花の需要が減り、逆にホームステイにより家庭用の需要が高くなりマーケットが変わってきているのではないかと思われますし、今後は燃料費の値上げなどで花の値段が上がることが予想されます。

2027年(令和9年)には、横浜市において国際園芸博覧会の開催が予定されています。日本産の花と花文化を世界へ輸出するチャンスです。花き農家がますます発展することを期待しております。

これまで月初に毎月開催してきた当サイトでのアンケートですが、今回でいったん休止し、今後は不定期開催とさせていただきます。今後も利益創造に役立つ情報を発信していきますので、当サイトをよろしくお願いいたします。

関連リンク

農林水産省「令和2年産花きの作付(収穫)面積及び出荷量
農林水産省「花きの現状について(令和4年2月)
国際園芸博覧会

 この記事を作ったのは 農業利益創造研究所 編集部

農業者の簿記データとリサーチデータをデータサイエンスで統計分析・研究した結果を、当サイトを中心に様々なメディアを通じて情報発信することで、農業経営利益の向上に寄与することを目標としています。