農業利益創造研究所

機械・設備

農機具メーカーさん必見! 高所得稲作農家はこんな農機を使っている

ソリマチの農業簿記ユーザー(稲作専業 優良経営 農家44人)にインタビューした内容を統計分析しました。

日本の農業機械の実態は

稲作経営において農業機械は絶対に必要なものであり、農地を大規模化して大型農業機械で作業を行うことにより作業効率を高めることができます。しかし経営サイズ以上の高価な農業機械を購入すると経営を圧迫してしまう、というトレードオフの関係となっています。

2019年の日本農業機械工業会のデータでは、1年間でトラクターは国内向けに3万8000台、輸出向けに10万台生産しており、日本の農機メーカーは輸出にも力を入れていることがわかります。国内向けにコンバインは1万4000台、田植え機は2万台生産しています。

2015年の農林水産省調べによる農業機械主要3機種(トラクター、コンバイン、田植機)の我が国の企業別シェアは、クボタがトップで、ヤンマー、井関、という順番でグラフのようになっています。

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優良経営稲作農家の農業機械所有状況

優良経営の稲作農家44件のインタビューによる農業機械の所有台数の調査結果は以下の表のようになり、なんと1農家でトラクターとコンバインをともに6台所有している方もいました。

トラクター コンバイン 田植機
クボタ 72 33 11
ヤンマー 39 30 12
井関農機 29 9 11
三菱マヒンドラ 6 2 2
その他 6 1 6

トラクターは、クボタのシェアがダントツで高くなっていますが、しかしコンバインと田植機はクボタとヤンマーの差はあまり見られません。トラクターは1農家に平均2.4台、コンバインは平均1.5台、田植機は平均1台、という結果でした。

作付面積の大きさにより所有メーカーに差があるのか、地域によって差があるのか、規模拡大志向の意識が強い人は何のメーカーを所有しているか、様々な角度から分析しましたが、これといって大きな傾向は出ませんでした。

しかし、田植機だけは地域別でおもしろい結果が出ました。表を見てみると田植機の「その他」のメーカー(6件)はすべて「みのる」というメーカーです。あまり聞きなれないメーカーですが、北海道仕様の田植機を製作し、独自の販売会社で販売しているようです。何が北海道仕様なのかというところまではわかりませんが、地域に合った製品で、地域に根差した販売体制により売れるものが違ってくるのだということがわかりました。

スマート農業機械を使う農家は? 下町ロケットが影響??

どのようなスマート農業機械を使っていますか?というインタビューも行いました。

1.自動運転の農機を持っている農家は7件、そのうち5件はクボタのトラクター所有農家でした。

2.ドローンを持っている農家も7件、そのうち6件はクボタのトラクター所有農家でした。

いちがいに結論付けるのはよろしくないですが、今回の調査では先進的なスマート農業を実践しようとする農家はクボタ所有農家の方が多いということになりました。これがなぜなのか?そこまではわかりませんが、クボタは先進的な農家さんをキャッチし、実証試験用に無償で貸し出してモニターしてもらい販売につなげる、という営業がうまいのかもしれません。それとも、もしかしたら、クボタが協力したテレビドラマの「下町ロケット」の影響が強かったのかも……。

農業人口が減り高齢化が進む中で農業機械に頼る経営はさらに進むと思われます。農業機械メーカーは先進的な機械をさらに開発し、より低価格で提供し、日本農業に貢献してもらいたいと思います。

南石教授のコメント

農業機械主要3機種(トラクター、コンバイン、田植機)の企業別シェアは、クボタがトップで、ヤンマー、井関、という順番となっているので、クボタ系の農業機械を使う農家が多いのは、ある意味で、当然といえるかもしれません。

優良経営と平均的経営で、購入している農機企業に明らかな差があるのか、どの様な要因が農機購入に影響しているのか等、今後、人工知能知AIで解析した結果が待ち遠しいですね。

 この記事を作ったのは 農業利益創造研究所 編集部

農業者の簿記データとリサーチデータをデータサイエンスで統計分析・研究した結果を、当サイトを中心に様々なメディアを通じて情報発信することで、農業経営利益の向上に寄与することを目標としています。