
農業利益創造研究所では、農業に携わる方からご意見をお聞きするアンケートを定期的に実施しています。2021年6月(2021/5/26~2021/6/30)の質問は、「あなたは、売上を増やすために何を一番重要視しますか?」でした。ご回答いただいた方々には、改めてお礼を申し上げます。
最終的な集計結果は、以下のようになりました。
単位当たり収穫量を増やす | 41.67 |
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品質を高め、付加価値を高めて高く売る | 25.00 |
規模を拡大する | 19.44 |
6次化により加工して高く売る | 8.33 |
新規に販売先を見つける | 5.56 |
「単位当たり収穫量を増やす」が第一位、「品質を高め、付加価値を高めて高く売る」が第二位となりました。
いずれも自身の工夫と努力で実現可能な選択肢ですから、農業者の職人気質が表れた結果かもしれません。
逆に「6次化により加工して高く売る」「新規に販売先を見つける」は低めの結果でした。これらの選択肢は全く新しい領域への挑戦ですから、ハードルが高いのかもしれません。
なお、「売上=農産物数量×単価」ですから、売上を上げるには数量を増やす、または単価を上げる、のいずれかを行う必要があります。
今回の選択肢では「規模を拡大する」「単位当たり収穫量を増やす」が「数量を増やす」に相当し、「品質を高め、付加価値を高めて高く売る」「新規に販売先を見つける」「6次化により加工して高く売る」が「単価を上げる」に相当しますが、「数量を増やす」「単価を上げる」のいずれかに偏っている、という結果は見られませんでした。
また、農林水産省が2017年10月から11月にかけて実施した若手農業者向けアンケート内の、「今後伸ばしていきたい方向(農業生産)※図表18」が、このアンケートと類似の質問です。
こちらでも、「単収の向上」が第一位、「高品質化・ブランド化」が第二位と、今回のアンケートと同様の結果が出ています。
なお、編集部では今回のアンケートを見直して、「複数の作目を最適な組み合わせで作付ける」という選択肢があってもよかったのでは、という意見も出ました。メイン作目のほかに、年間労働時間のすきまを埋める作付けを考えるのも、売上アップには非常に重要です。今現在作付けしている作目を思い切って減らし、他の作目を増やすという方法でも、売上増につながるかもしれません。
なお、利益を上げるには売上を上げるだけではなく、経費を抑えることも非常に重要です。7月のアンケートは「コストを下げるために何を一番優先して実践しようと思いますか?」です。