
個人情報を除いた2024年の簿記データ(ソリマチ農業簿記ユーザー:青色申告個人農家15,780人)を統計分析しました。統計基準や用語の解説は「統計分析に使用している用語の説明」をご参照ください。
皆さんはパクチーを好んで食べますか? 私は若い頃は苦手でしたが、年を重ねるごとに美味しさがわかるようになり、今ではすっかり好きになりました。
野菜には、タマネギ、キャベツ、ダイコンなど多く生産されている野菜の他に、パクチーやショウガ、ニンニクなどの香味野菜を生産している農家もいます。
香味野菜は少し脇役的なイメージがありますが、料理を引き立ててくれますし、希少価値があって安定的なニーズもあるため、生産農家の経営も安定しているのではないでしょうか。
香味野菜生産農家の経営をちょっと覗いてみましょう。
ただし、データ数が限られていますので、あくまでも分析結果は参考程度に見てください。
香味野菜経営の特徴
今回分析した香味野菜は、データ数が多かったショウガ(52件)、ニラ(87件)、ワサビ(10件)、ラッキョウ(14件)、ニンニク(11件)の経営を調べました。
もちろん複合経営で複数作物を栽培している農家がほとんどですので、それぞれの品目の販売額の割合が50%以上の経営のみを集計しました。
各品目ごとの経営概況は以下のグラフの通りです。
経営規模が大きいのはショウガとニラで、ニンニクは小規模の農家が多いようです。世帯農業所得額(控除前農業所得+専従者給与)が多いのは、ショウガ、ニラ、ワサビで620万円~1,000万円という高所得です。
ワサビは世帯農業所得率が48.9%という高さで、驚異的です。
残念ながら、ラッキョウとニンニクは農業所得が低いです。(たまたま分析した農家の所得額が低かったからかもしれませんが)
以下のグラフは、販売金額を100とした各費用の比率を表したグラフであり、費用構成がわかります。
やはり目を引くのはすべての費用が低いワサビです。ワサビは肥料や農薬が少なく、大きな機械も必要としないため経費がほとんどかかりません。
それに対して、ラッキョウは農薬費や雇人費がかなり高くなっていますので、それがラッキョウの農業所得率の低さの原因なのかもしれません。ニンニクも農業所得率が低いですが、減価償却費が高いからでしょう。
以下のグラフは、建物や農機具の固定資産額および借入金額と、収入金額に対する借入金の率を示しています。
ニラの固定資産が高いことと、ラッキョウは固定資産も借入金も高いことがわかりました。
ラッキョウは農業所得が低いのに、借入金も多いので少し心配です。
ワサビは固定資産も少なく経営安全性は抜群です。ワサビはわさび畑の整備が容易ではありませんが、第三者継承で畑を引き継ぐことができるなら、新規就農者には有望な作目と言えます。
高所得経営の経営規模
今までの分析から、ショウガとニラとワサビの経営効率が高いということがわかりました。ワサビは少し特殊ですので、ショウガとニラの農業所得1,000万円以上を得るにはどれくらいの経営規模が必要か調べました。
ショウガの収入金額と世帯農業所得の分布図を見ると、収入金額3,000万円以上が高所得を得られる経営規模です。
また、ニラの分布図では、収入金額が2,000万円以上と、大規模経営でなくても高所得となっています。ニラは、年に数回収穫でき、一度植え付けると4年から5年にもわたって収穫することができるそうですので、ニラは高所得・高効率な作目かもしれません。


まとめ
以上のことから、香味野菜で高所得を得ようと思うなら、ニラ、ショウガ、ワサビであるとわかりました。
しかし、実は香味野菜は気象条件に左右されるとも言われており、主要産地が決まっている場合が多いのです。
ニラとショウガの主要産地は高知県、ワサビは静岡県、ラッキョウは鳥取県、ニンニクは青森県です。
今回はデータ数が少なくて調べられませんでしたが、セロリは長野県、ミョウガは高知県、シソは愛知県です。
生産量がそれほど多くないからこそ産地化して栽培方法を統一化し、生産物をある程度まとめて市場に出す、という工夫をしていると思われます。
主役的な野菜は必要ですが、脇役野菜がないと料理の幅は広がりません。
様々なおいしい野菜、それを生産している産地に感謝です。

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