
当サイトでは、ソリマチの農業簿記ユーザー(稲作専業農家1,700人)の個人情報を除いた簿記データを統計分析し、得られた結果を皆様にお伝えしています。
全体的な傾向を知る上で、統計分析は有益な手段です。ですが、「どのように利益を創造するか」という視点では、高所得農家に絞った分析もまた、非常に有益なのではないでしょうか。
そこで、簿記データ上で特に優良経営を行っている44農家を選定してヒアリングを行い、その情報をもとに様々な分析を行っていこうという試みも行っていく所存です。
ヒアリング農家の基本データ
ヒアリング農家 | 簿記データ (稲作農家) |
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件数 | 44件 | 1,674件 |
平均年齢 | 52.3歳 | 56.7歳 |
平均専従者数 | 2.6人 | 1.4人 |
平均雇用・パート人数 | 6.4人 | – |
所在地 | 北海道、新潟県、栃木県など日本全国 | |
平均経営面積 | 28.0ha | 12.1ha |
平均借地割合 | 53.9% | – |
主な作目 | 稲、麦、大豆、野菜 |
※1 農業簿記の2019年度青色申告データのうち、稲作を主とする専業農家(販売金額500万円以上)を集計。
※2 ヒアリング農家はヒアリングで回答した総面積、簿記データ(稲作農家)は田畑の作付面積合計を用いて算出。
こちらは、「リサーチ」コラムでデータ分析に使用しているヒアリングを行った高所得農家(以下、「ヒアリング農家」)と、「統計分析」コラムでデータ分析に使用している稲作専業農家(以下、「簿記データ農家」)の比較です。
まず、平均年齢、所在地、主な作目の三つの項目では、二つの間に大きな差異はありません。
例えば年齢が若いだとか、農地が利益の出やすい土地にあるとか、そういう自分の努力で変えられない属性が理由で利益が出ているのであれば、他の農家がその経営を参考にしようと思っても、なかなか難しいことになります。
しかし、決してそういうわけではなく、このヒアリング農家は特別な属性を持っている方々ではありません。
ですから、その経営戦略を参考にして、高所得を目指すことは十二分に可能なのです。
逆に、ヒアリング農家が抜きんでている分野もあります。たとえば、平均専従者数や平均経営面積はヒアリング農家の方が大きく、ヒアリング農家が平均よりも大規模であることが伺えます。
やはり農家は、規模が大きい方が利益が出やすいのかもしれません。
ヒアリング農家が行う優良経営
次に、平均販売金額や世帯農業所得(青色申告の特別控除前所得+専従者給与)、所得率(世帯農業所得÷収入金額)の比較がこちらです。
当たり前といえば当たり前ですが、販売金額、世帯農業所得いずれも、ヒアリング農家が相当に上回っています。
簿記データの世帯農業所得や所得率も、農家としては決して悪くありません。そのような中でも、特にヒアリング農家は優良経営を収めています。
世帯農業所得は1000万円を超えていて、所得率は30%以上と、収益性も大変高くなっています。
ヒアリング農家へのリサーチに基づいたコラムでは、このように優秀経営を誇る44の農家が、どのような経営方針を取っているのかを様々な角度から分析しています。その情報を、あなたの経営改善に役立てていただければ幸いです。