農業利益創造研究所

農業経営

アンケート結果「「2022年 新しい年への挑戦」 新しく始めたいことはありますか?」

農業利益創造研究所では、農業に携わる方からご意見をお聞きするアンケートを定期的に実施しています。2022年1月の1か月間の質問は、「「2022年 新しい年への挑戦」 新しく始めたいことはありますか?」でした。ご回答いただいた方々には、改めてお礼を申し上げます。

2022年 新しく始めたいことはありますか?

今回のアンケートの結果は以下のようになりました。

「2022年 新しい年への挑戦」新しく始めたいことはありますか?
新しい作目を導入してみたい 21.5
変わった加工品を作ってみたい 7.1
作付面積や 頭数 を アップする予定 7.1
通販や直売所や卸小売業者等への直接販売を強化する 7.1
新しい農業機械や、スマート農業 を導入する 42.9
従業員を採用したり、働き方改革をする 14.3

一番多かったのは「新しい機械やスマート農業を導入する」でした。古くなった農業機械を更新するだけという方もいらっしゃると思いますが、中には、農林水産省が力を入れている「スマート農業の加速化と農業のデジタルトランスフォーメーションの推進」を参考にして導入を決めた方もいるかもしれません。

高額なスマート農業機器導入によりコストが増えたということになると本末転倒ですが、最近ではメーカーも工夫を凝らして、低価格な機械やセンサーを提供するようになってきたように思います。例えば、自動運転のロボットトラクターは高価ですが、「GPS自動操舵」という既存のトラクターのハンドルに取り付けるタイプの低価格の自動操舵機器が普及し始めています。

アンケートの結果で、次に多いのが「新規作目導入」、「従業員採用・働き方改革」でした。

所得増大のために何をやるかと考えた時に、新しい作目導入による収入アップ(そのために作業時間の余裕を作るためのスマート農業導入)、そして、規模拡大による収入アップ(そのために従業員を雇う)、ということを経営者の皆さんは考えているのではないかと推測できます。

新しい年のスタート

農家のみなさんは、昨年度の決算を終えて確定申告しよう、という時期かと思います。申告を終えたら、昨年度の反省をして今年度の営農計画を立ててみませんか。

自分がどのような農業経営にするかを考えるうえで、目標とする所得を決めることが重要です。

この表は、全国の農業簿記ユーザーのデータを集計し、営農類型別に世帯農業所得率(控除前所得+専従者給与を収入金額で割った率)を算出してみました。この所得率から目標とする収入金額がわかります。目標とする世帯としての所得は、思い切って1,000万円に設定しました。

目標とする収入金額が把握できたら、この収入金額の内訳を考えて、さらに細かく計画を立てましょう。

世帯農業所得率
全国平均
目標とする
世帯農業所得
算出した
収入金額
普通作26.1%1,000万円3,831万円
野菜26.8%1,000万円3,731万円
果樹34.5%1,000万円2,898万円
酪農14.9%1,000万円6,711万円
肉用牛13.2%1,000万円7,575万円

PDCAという言葉を耳にしたことがある方もいるでしょう。それぞれP:プラン(計画)、D:ドゥ(実行)、C:チェック(反省)、A:アクション(改善)、です。

農業は作目によっては1年に1回しか生産できない業種です。昨年の経営実績を数値化し、他の経営(当研究所の全国平均データ等)と比較して自分のポジションを確認し、経営を分析し、チェックして、計画を立てて、実行し、良くないところは改善していく、ということを続けていくことが成長する経営になる近道だと思いますのでぜひ実践してみてください。

さいごに

2022年1月に、岸田総理大臣は施政方針演説にて、今後の農業の方針として、(1)食料自給率を引き上げるための農業生産の増大のため規模拡大や生産性向上への投資の重要性、(2)地球温暖化の抑制などに向けた環境負荷の軽減。気象災害の頻発・激甚化などの影響への対応、を示し、農業所得を拡大するための総合的な対策を講じていく、と述べています。

今年も農業利益創造研究所は、経営者の方々が所得増大に向けた経営を行う上で参考となるデータを発信していきたいと考えます。どうぞ、よろしくお願いします。

2月のアンケートは、「あなたが一番好きな「かんきつ類」はなんですか?」です。

最近甘くておいしい柑橘類が売られていますが、どのようなものが人気なのでしょう。たくさんの投票をお待ちしています。

 この記事を作ったのは 農業利益創造研究所 編集部

農業者の簿記データとリサーチデータをデータサイエンスで統計分析・研究した結果を、当サイトを中心に様々なメディアを通じて情報発信することで、農業経営利益の向上に寄与することを目標としています。