農業利益創造研究所

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都道府県ランキング! 2023年野菜経営の農業所得TOP5

個人情報を除いた2023年の簿記データ(ソリマチ農業簿記ユーザー:青色申告個人農家11,655人)を統計分析しました。統計基準や用語の解説は「統計分析に使用している用語の説明」をご参照ください。

毎年当コラムにて、農業所得の都道府県ランキングシリーズを掲載していますが、今年も野菜経営のランキングを調べましたのでご覧ください。

※なお、このランキングはあくまでも『農業簿記』ユーザーの分析結果です。全国の農家全体のランキングとは異なっている可能性がありますので、ご了承ください。

野菜経営の前年比較

まず都道府県を分析する前に、全国地域別に見てみましょう。野菜農家4,593件の2022年から2023年への増減率を地域別に比較すると、以下のグラフのようになりました。

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北海道だけ販売金額も世帯農業所得(控除前農業所得+専従者給与)の変化が無く、他の地域はすべて増加しています。

これはいったいどういうことでしょうか? 昨年の分析では、2022年は販売金額が増えたものの諸物価高騰の影響で農業所得は軒並み減少していました。

一方2023年においては、経費増はありましたが、それを上回る勢いで販売金額が増えた分、結果として農業所得も増えているのだと思われます。

北海道を掘り下げて調べてみると、肥料費が176万円も増加しましたが、雑収入が390万円増えていました。

おそらくこの雑収入は補助金でしょう。北海道の野菜は大規模経営が多いので、肥料費の高騰で経費が増加し、肥料価格高騰対策事業の補助金をもらって所得減をなんとかカバーできたということではないかと思われます。

北海道以外の地域は、雑収入も肥料費も特に大きな変化は見受けられませんでした。

いずれにしても、全国的に販売金額が増加したわけですが、農林水産省の作況調査を調べると、2023年産指定野菜の収穫量は2~4%減少したそうです。

収穫量が減ったのに販売金額が増えたということは、単価が上がったのでしょうか。異常気象などの影響で野菜の価格の変動がニュースになっていましたので、もしかしたら流通量が減ることで価格が上がり、農家の販売金額が増えたのかもしれません。前年が落ち込んでいたから、という理由はあるでしょうが、利益が増えたのは喜ばしいことです。

収入金額 都道府県TOP

次に、収入金額を都道府県ごとにランキング集計すると、以下のような結果になりました。

収入金額
2022年度2023年度
全国平均23,120全国平均24,782
1位 北海道48,2501位 北海道52,841
2位 群馬県24,1382位 群馬県26,248
3位 長野県23,6553位 長野県24,603
4位 愛知県23,0884位 茨城県23,501
5位 栃木県22,7695位 熊本県23,384

※金額の単位は千円

農家一戸当たりの収入金額平均の1位は北海道(5,284万円)でした。北海道は2022年も1位、そして2位の群馬県と2倍の差がありダントツの1位です。

北海道野菜農家で収入金額が大きいトップ30農家の主幹作物を調べたら、ほとんどがタマネギとジャガイモを生産していました。北海道は広い土地で、大型機械を使って効率的な大規模野菜経営を行っているのです。

ちょっと気になるのは、2022年にはランキングに入っていなかった茨城県と熊本県が躍り出てきたことです。

茨城県の収入金額トップクラスの経営の作目は、「レンコン、サツマイモ、コマツナ」で、熊本県の収入金額トップクラスの経営の作目は、「トマト、イチゴ、ナス」でした。2023年はこれらの作目の販売が好調だったのでしょうか。

世帯農業所得 都道府県TOP5

世帯農業所得では、またもや北海道がダントツの1位であり1,286万円は驚きの高さです。他には山形県が落ちて栃木県が上がってきました。

栃木県の所得トップクラスの経営を調べると、ホウレンソウ経営とイチゴ経営であり、約3,000万円の所得を得ていました。

世帯農業所得
2022年度2023年度
全国平均6,117全国平均6,454
1位 北海道12,9321位 北海道12,865
2位 山形県6,7232位 栃木県7,443
3位 栃木県6,4933位 石川県7,037
4位 愛知県6,2104位 山形県6,880
5位 千葉県6,149位 5千葉県6,747

※金額の単位は千円

今までランキングに入っていなかった石川県が3位に上がりました。石川県の農業所得トップクラス経営の主幹作目はスイカです。

スイカで有名な産地は熊本県や千葉県ですが、石川県は海岸砂丘地で栽培しブランド化を目指しているということなので今後注目ですね。

世帯農業所得率 都道府県TOP5

世帯農業所得率(世帯農業所得÷収入金額)は、2022年は山形県でしたが、2023年はなんと神奈川県でした。

山形県はフルーツ的な野菜で高所得・高効率経営を行っている農家が多いのですが、神奈川県は所得率34.9%という非常に高効率経営です。

実は、総務省の家計調査によると野菜消費量が一番多いのは神奈川県であり、これらの分析を以前コラムで掲載しました。
家計調査から見えた!「野菜消費王国・神奈川県」の野菜経営の特徴

神奈川県の野菜農家は、肥料費、農薬費が少なく(有機栽培)、消費地が近いので直売所が多くあり荷造運賃手数料が低い点が特徴的で、結果的に所得率が高いと思われます。

世帯農業所得率
2022年度2023年度
全国平均26.5%全国平均26.0%
山形県32.1%神奈川県34.9%
岐阜県31.8%岐阜県33.2%
鳥取県30.2%栃木県32.5%
千葉県29.6%山形県32.5%
島根県29.1%石川県31.9%

3道県の野菜農家の特徴

世帯農業所得率が高い神奈川県と岐阜県、そして所得額は高いのに所得率が低い北海道の3道県の費用構成を分析してみましょう。販売金額を100とした各費用金額の比率を下のようにグラフ化しました。

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神奈川県は減価償却費が高いですが、他の費用は低く抑えられています。岐阜県(高所得率な作目はトマトでした)は、雇人費と荷造運賃手数料が高いです。北海道は雇人費がは低いですが、それ以外の費用はすべて高くなっています。地域と作目により経営費構造に違いが出てくることがわかりました。

まとめ

おそらくこのコラムを読んで、野菜経営のランキングではなく、作目ごとのランキングが知りたい、と思われた方が多いと思います。例えばトマトであれば、熊本県、北海道、愛知県が特産地です。競合産地はどのような経営をしているか、競合産地と比較して自産地の経営の特徴は何か、を把握し改善の工夫をしていくことは良いことです。

自分のことは意外とわからないものです。他との比較により気づいて改善していく、そういった細かな工夫の積み上げで経営は向上していくのではないかと思います。

関連リンク

農林水産省「作況調査(野菜)

南石名誉教授のコメント

今回の分析では、都道府県別に野菜経営の農業所得の傾向を明らかにしています。都道府県によって主作物が異なるので、分析結果は、それぞれの野菜と地域の特徴が混ざり合った傾向を示しています。

例えば、北海道はタマネギやジャガイモの大規模生産のBtoB販売、神奈川は少量多品種野菜生産のBtoC販売がイメージできます。

それぞれの地域や作目に適した多様な農業経営が存在できる事が農業の魅力と可能性を示しています。

 この記事を作ったのは 農業利益創造研究所 編集部

農業者の簿記データとリサーチデータをデータサイエンスで統計分析・研究した結果を、当サイトを中心に様々なメディアを通じて情報発信することで、農業経営利益の向上に寄与することを目標としています。